2010年03月28日

ドイツの労働者派遣法

 京都府知事選挙の公示後はじめての日曜日です。しかし、残念ながら、公職選挙法という法律は、市民の選挙についての報道や意見発表を促進するのではなく、規制する法律となっています。そのために、ブログで候補者を応援することができません。あしからず。
 今回は、これからの京都や日本のあり方に重要な非正規雇用について、海外の事情をお伝えします。私は、3月にはいって、3回ほどドイツの労働法研究者をお招きした研究会に参加する機会を得ました。3回の研究会を通じて感じたことは、ドイツはやはり日本と違って原理や手続きがしっかりしているということと、やはり日本と共通の悩みを持っているということでした。

 EUは昨年派遣労働者についても通常労働者と同様に均等に処遇されるべきことをEU議会で法制化しました。ドイツでも同様に均等待遇の法律ができています。ただし、労働組合と使用者団体が取り決めによって、より低い条件を定めることが認められています。
 そこで、職場にほとんど基盤のないキリスト教労働組合という団体が使用者団体と次々と低賃金の取り決め(協約)を結んでいます。GDBという大きな労働組合はその影響を受けて、やはり低賃金の取り決め(協約)を使用者団体と結ばざるを得なくされています。そのために、全土の派遣労働者の9割以上は均等待遇の原則を排除されてしまっているとのことです。
 今、ドイツでは、キリスト教労働組合が結んだ低賃金の取り決めが法の趣旨に反し無効であることが裁判所で争われているとのことです。

 わが国でも、労働組合の名を借りた事業者が労働組合だけができる「労働者供給事業」という派遣業を低賃金で行い大もうけをしています。宗教活動に名を借りて事業を展開し、大儲けをする偽宗教団体と一緒です。
 これから、わが国で非正規労働者の権利を拡大するための法制化が必要ですが、外国における法規制の現状などを十分に把握して抜け道のない規制をしていく必要があります。
 
posted by 中村和雄 at 16:34 | みなさんの意見(0) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2010年03月22日

京都府知事選挙公開討論会

 4月11日は京都府知事選挙の投票日です。今週の25日には公示となります。それにあわせて、京都青年会議所等が公開討論会を企画し、本日2人の予定候補者を招いてシルクホールで開催されました。

 私自身は、門さんを推薦しており、門さんのマニフェストが政策的にも現職知事の政策より遙かに優れていると考えていますが、ここではその話はおいておきます。皆さんあとでHPでしっかり見比べてください。

 今度の京都府知事選挙は国政の政権交代後のはじめての大型首長選挙であり、7月の参議院選挙にも連動する重要な選挙です。雇用と経済の大きな冷え込みの中だからこそ、府民の皆さんにもしっかりこれからの府政のあり方を考えて投票して貰うことが必要なのです。
 青年会議所が公正な立場に立って、こうした公開討論会を企画したことはすばらしいことです。私が立候補した2年前の市長選挙でも企画して貰いました。あのときと違って、今回は現職と新人2人だけの立候補なので討論の時間が十分に確保でき、しかも直接相手方に質問できるという方式なので時には激しい応酬で盛り上がり、興味深く聞いていました。

 こうした企画は新聞やテレビでもどんどんやってほしいところです。明日はKBSテレビの討論が予定されているとのことですが、新聞社では対決討論の予定はないようです。
 これだけ混迷した今の政治情勢のなかで、府民の皆さんに選挙への関心を持って貰い、わかりやすい形で争点を伝えることはマスコミの大きな役割です。マスコミの皆さんの報道が府民に選挙の関心を大きく膨らませるか否か大きく影響します。
 とっても大切な今回の選挙、府民の皆さんが大きな関心を寄せて投票率が大きく向上することを期待します。 
posted by 中村和雄 at 16:54 | みなさんの意見(0) | TrackBack(0) | 国政のことなど

2010年03月14日

沖縄返還密約と「運命の人」

 自民党の歴代内閣が存在を否定し続けてきた沖縄返還に伴う密約の存在が、公式に明らかになってきました。非核三原則(核を作らず、持たず、持ち込ませず)を遵守するとの歴代首相の国会での答弁はすべてウソだったのです。

 国民の政治家に対する不信が高まるのは当然のことです。今回の密約が公になった背景としては政権交代があります。しかし、非核3原則が2.5原則になっていたことが判明したのに、そのことを曖昧にして、アメリカに対しては何も要求をしないという鳩山政権はどうなっているのでしょうか。「非核3原則の遵守」はそんなに軽いものだと考えているのでしょうか。

 私は、毎夜寝る前に山崎豊子さんの「運命の人」(文藝春秋)を読むのですが、すぐ眠くなってしまい、まだ1巻を読み終えたところです。この本は、昨年4月に出版されたのですが、2005年から2009年にかけて「文藝春秋」に連載されたものをまとめたものです。現在外務省が公に存在を認めた機密文書について、当時それを入手し、その後、国家機公務員法違反の共犯者とされた毎日新聞西山記者の活動と当時の政治家や外務省官僚たちの動きがリアルに生き生きと描かれています。

 山崎さんは、「白い巨塔」、「不毛地帯」、「大地の子」そして「沈まぬ太陽」など権力の腐敗を暴くすばらしい作品を次々と世に送り出してくれています。私の大好きな作家です。その記述内容は、丹念で綿密な調査によって、極めて事実に忠実なものです。今回の「運命の人」執筆にあたっても、膨大な裁判記録などを綿密に調査され関係者に取材をして事実確認をしたものだと思います。すでに昨年の出版当時に話題になりましたが、まだお読みでない方には購読をお勧めします。今伝えられる「密約」に関するニュースの裏側がよく理解できます。
 それにしても、この本に「佐橋」首相として登場する佐藤栄作元首相、受賞対象事実が虚偽なのですから、ノーベル平和賞は取消されるべきです。ノーベル平和賞の権威はどんどん落ちていきますね。 
posted by 中村和雄 at 19:18 | みなさんの意見(1) | TrackBack(0) | 国政のことなど

2010年03月07日

名古屋大学シンポジウム「雇用平等法の新たな展開」

 6日(土曜日)に名古屋大学で「雇用平等法の新たな展開」と題する国際シンポジウムが開催され、労働法の研究者が全国から集まりました。

 ドイツの労働法学者のモニカ・シュラハターさんが「ドイツ労働法における雇用平等法の展開」と題して、ドイツにおける雇用平等法の展開と裁判について報告されました。
 ドイツの社会経済研究所の前所長であるハルマット・セイファートさんは「ドイツにおける雇用の多様化と労働組合の対応」と題してドイツにおける派遣をはじめとする非正規労働の広がりと労働組合の対応の遅れを報告されました。

 私も担当したウイングス京都事件(ウイングス京都で働く嘱託職員が正職員に比べて差別されていることに対して是正を求めた裁判)について報告をさせてもらい、ドイツでは同種の事件に対してより労働者に有利な手続きが確立しているとのコメントも受けました。

 グローバリズムの波の中で、ドイツでも派遣をはじめ非正規雇用が増大してきており、労働組合も十分に対応できていないようです。もちろん日本の現状よりは遙かに労働者にとって保護されているのですが、想像していた以上に問題も抱えているようです。派遣労働者の派遣先労働者との均等取り扱いは、法律では認められているものの多くの職場で労働協約によって適用を排除してしまっているとのことです。宗教系の労働組合が悪い働きをしているとの指摘でした。
 
 私たちが日々議論していることと共通の課題についてドイツの中でも議論がされており、共通の課題がたくさんあることを感じました。日本の女性差別や非正規問題の解決のために、ドイツから学ぶことがたくさんあります。逆に日本から伝えることもあることが分かりました。今後さらに、研究者間の交流を深めて双方の制度や運用について学びあうことの大切さを感じました。
posted by 中村和雄 at 23:30 | みなさんの意見(5) | TrackBack(0) | 雇用・労働