2011年09月03日

心の病増大

 厚生労働省が発表した「労働安全衛生基本調査」によると、メンタルヘルス(心の健康)の問題で連続1ヶ月以上休んだ労働者がいる事業所が5.9パーセントとなり、5年前の調査時の2.6パーセントの2倍以上に増大しました。
 メンタルヘルスが理由で過去1年間に退職か休業した人のいずれかがいる事業所は、7.3パーセントに及んでいます。

 わが国での働かされ方がますます悪化しています。働きやすい、やり甲斐を持って仕事を出来る職場環境をみんなでつくっていきましょう。
posted by 中村和雄 at 12:37 | みなさんの意見(3) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2011年07月15日

城陽市嘱託職員雇い止め事件提訴

 18年間にわたって城陽市水道事業に嘱託職員として従事してきた女性職員が、本年3月末日をもって雇い止めになりました。後進に道を譲れなどのとても合理的とは言えない理由に基づいてクビとなりました。しかも、7月には同じ仕事をして貰うために新しい嘱託職員の採用をしているのです。雇い止めされた女性は、本日、京都地裁に地位確認などを求めて<裁判を提起しました。

 国や自治体で働く非正規労働者が増えています。城陽市では、職員のうち半数近くが非正規労働者です。地方公務員法という法律が公務員の身分を保障しているのですが、そこでは公務を司る職員は正規職員だとして、非正規職員の雇用はごく例外的場合にしか認めていないのです。しかし、多くの自治体では法律に反して非正規職員を大量に雇用しています。にもかかわらず、公務に携わる非正規職員はきわめて不安定な地位におかれ、裁判所はこれまでこうした公務職場の雇い止めに対して労働者にきわめて厳しい判断をしてきました。民間職場では雇い止めが無効となるケースでも公務職場では有効としてきたのです。

 働く場所が民間企業であるか、公務職場であるかによって、労働者の雇用継続の権利に較差がつくのはおかしなことです。かつて東京地裁で画期的な判決を書いた裁判官は、その後講演会で「これまでの裁判所の考えは時代遅れだ」と断言しました。裁判に立ち上がった女性のような公務ワーキングプアの解消も重要な課題です。多くのみなさんがこの裁判についてご支援頂くことをお願いします。/span>
posted by 中村和雄 at 20:58 | みなさんの意見(1) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2011年03月18日

計画停電と休業補償

関東地方で計画停電が始まりました。これに伴い、操業を停止する企業が相次いでいます。その為に、日払いのパートや派遣労働者たちが賃金を貰えない自体となっています。正社員の多くは月給制で計画停電に伴う賃金減額の話はまだ聞こえないのですが、やはり弱者である非正規労働者から被害が広まっています。

 通常の場合は企業が操業を停止しても休業補償を免れることはできません。ただし、休業が使用者の責めに帰さない場合には企業はその責任を免れることが法律で決められています。厚生労働省は、通達で今回の計画停電は「使用者の責めに帰さない」ものであることを通知しました。計画停電の時間帯については、休業補償の支払がなされないことになりそうです。しかし、計画停電は1日中ではありません。計画停電の時間帯外については、基本的に「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当するのです。このことを通達ははっきり述べています。
 直接は被災していないのに、部品や原材料が入らないとか、出荷できる交通事情がないという理由で、操業を停止した場合には休業補償の支払義務があるのです。
 また、地震被害に伴う「経済上の理由」で事業活動が縮小した場合は、使用者は雇用調整金の支給を受けられます。
 今回の震災のなかでも雇用や経営がしっかり確保できるように、正しい知識をみなさんに広めてください。
posted by 中村和雄 at 18:30 | みなさんの意見(1) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2011年02月20日

ジヤトコ裁判を勝たせる会総会

110220_164051.jpg 本日、ジヤトコ偽装請負解雇・雇い止め事件の勝たせる会の総会がJA会館で開かれ原告団、弁護団を含め70人の参加がありました。2009年10月の7日提訴から16か月が経ち、裁判は7回の期日を終えました。原告1人1人の採用の経過や正社員と同じ仕事をしてきた仕事内容、家族を含めた生活状況などを詳しく書いた陳述書を証拠として提出しています。これを読むと如何に彼らを非正規として雇い続けたことが不当であるか怒りが沸いてきます。彼らのこの思いをしっかりと受け止め、非正規雇用問題を解消しようとたくさんの方が毎回法廷を埋めてくれます。この夏頃には証人尋問が行われます。年内には判決も予想されます。11人の弁護団は全力で頑張る所存です。

 わが国の非正規問題を解消するためにどうしていったらよいのか、14日に日弁連で「どうする!これからの正規と非正規」と題するシンポジウムを開催しました。どうやって非正規と正規の賃金格差をなくしていくのか。均等待遇を実現するために法律はどう規定したらいいのか。労働組合は何をしたらいいのか。合理的理由がないのに期限を付けた雇用は許されるのか。どうやって規制をしたらいいのか。西谷敏大阪市立大学名誉教授と濱口桂一カJIL統括研究員と山根木晴久連合非正規労働センター総合局長が熱い討論を繰り広げました。私はコーディネーターとして参加させて頂いたのですが、非正規問題解消に向けてこれからの政策を作るうえで大変勉強になりました。こうした討論をどんどん実施いていきたいと思います。

 これからのわが国の雇用のあり方を考えるうえで有効だと思われるデンマーク調査の報告書がようやく日弁連のホームページにアップされました。日弁連のホームぺージの「委員会活動」→「貧困問題対策本部」と進むとデンマーク調査のPDFファイルがあります。A4販200ページに及ぶものですが、大変参考になるものだと自負しています。ぜひ、ご一読ください。
posted by 中村和雄 at 23:55 | みなさんの意見(1) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2011年01月17日

デンマーク調査報告会

110114_192825.jpg 金曜日に東京の日弁連会館でデンマーク調査報告会が開かれました。会場が溢れる大盛況でした。デンマーク調査についてはすでに報告したところですが、これからの日本の雇用と社会保障のあり方を考えていく上でとても参考になる国です。

 報告会では調査に同行頂いた大阪市立大学の根本教授が講演され、じつはデンマークの解雇規制は日本より厳しいこと、手厚い職業訓練体制が整えられていること、失業給付の受給も日本とは比べものにならないほど充実していることなどを報告されました。そして、デンマークでも新自由主義にもとづく規制緩和の動きがあり制度が脅かされていることなど、デンマークの陰の部分も指摘されました。
 
 報告会では、わが国の職業訓練の実情について2人の若者体験者から報告がありました。調査に参加した小川弁護士が進行役となり根本教授と首都圏成年ユニオンの河添さん、そして厚労省の井上さんの3人のパネラーによって、わが国の職業訓練の現状や新たな取り組み、今後のあるべき方向などについて充実した討論がなされました。
 わが国でも公的な職業訓練として充実した内容のカリキュラムがいくつもあることもわかりました。しかし、圧倒的にそれらにかける予算が不足していることが明らかになりました。多くの希望者が受講できていないこともわかりました。デンマークとわが国の最大の違いは、国がどれだけ雇用対策、失業対策に責任を持ってお金を投入しきめ細かい施策を実行しているか否かでした。
 これからこの分野でも、民間の参入をさらに広げ、ますます国の負担を軽くしようとの動きがあります。それがいかにマイナスのことか、この間の公務の民営化の実態が物語っていると思います。国がしっかりと雇用をまもる、そのために責任を果たす、そうした仕組みをしっかりと作っていきましょう。
posted by 中村和雄 at 23:34 | みなさんの意見(1) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2010年12月20日

テレビエンタメストア倒産

 「日本初、最大のテレビエンタメストア。6月4日イオンモールにオープン。人気テレビ番組グッズ、映画グッズを販売するだけでなく、アミューズメント、飲食も楽しめる。イベントスペースではテレビ番組や映画のイベントも開催。テレビ関係のいろいろな情報を発信する情報基地でもある。※ 参加テレビ局は日本テレビ・テレビ朝日・TBS・テレビ東京・ フジテレビ・毎日放送・朝日放送・テレビ大阪・関西テレビ・よみうりテレビ」|
オープンしたばかりの京都駅南側の大型ショッピングセンター「イオンモール」。その1階に出店していたテレビエンタメストアの開店時の宣伝広告文句です。そのテレビエンタメストアがたった半年で倒産し、東京地裁に破産申請しました。

 従業員80名中、42名が障害者です。障害者に優しい職場としてハローワークを通じて就職した障害者の方がたくさんいます。従業員は突然電話などで倒産・解雇をを知らされましたが、その1ないし2日後には破産手続きが受理されていました。ずっと以前から破産の準備がなされていたことになります。商業登記簿を調べると、会社役員が破産直前に交代しています。莫大な費用を投資して新規オープンしておきながら、たった6か月で破産するとは信じられないことです。

 従業員の皆さんは、1か月分の給与が未払いであり、さらに解雇予告手当も支払われていません。本来企業倒産の場合には、未払い給与について80%が保障される国の立て替え払い制度があるのですが、この制度は企業が事業を開始してから1年経たないと使えないのです。
 
 従業員の皆さんは、未払い賃金等を確保するために会を立ち上げ、多くの仲間の皆さんに入会を呼びかけています。支援のみなさんもたくさん集まっています。やっと確保できた職場がたった半年で倒産し、給与さえも支払って貰えない。深刻な事態のなかで年を越そうとしています。

 倒産に至った経緯を明確にするとともに、イオンモールや行政等の責任を追求することできないかについても検討し、従業員の皆さんがこのまま泣き寝入りすることなく、少なくとも未払い賃金等を確保できるように支援していきたいと思います。皆さんのご支援をお願いします。 
posted by 中村和雄 at 22:43 | みなさんの意見(5) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2010年11月29日

大阪地域労組青年部

 本日の午前0時50分から毎日テレビの「映像’10」という番組で、大阪地域労組青年部の活動がドキュメンタリー番組として放映されました。同青年部専従の中嶌君たちが、既存の労働組合運動とはちょっと違う若者らしい感覚で、駆け込んでくる若者労働者の紛争を次々に解決していきます。その手法はまさに若者らしく、ニコニコ動画をはじめとするきわめてテクニカルでビジュアルな手法が用いられています。解決率が80パーセントということですから、いま評判の労働審判における調停成立率70パーセントを凌ぎます。私も中嶌君には何度かお会いしていますが、大変理論的で鋭い感覚と包容力を持ったすばらしい若者です。
 
 ところが、番組の中でも紹介されていたように、彼らの活動が財政上の問題から危機に直面しています。彼らのような労働運動はこれからますます重要性が増してきます。非正規雇用の現場で悶える若者たちの駆け込み寺として、地域にこうした活動が展開されていることはきわめて重要です。  
 中嶌君自身は一時期活動を離れることも考えたようですが、いまは仲間と必死に頑張っています。大阪の弁護士たちを中心に呼びかけて地域労組青年部を支える基金も設立されました。

 いま、非正規労働者の権利保護を実現しようと各地で活動している地域の労働組合(ユニオン)は、どこもかしこも財政難です。専従の方たちが劣悪な条件の中で必死に活動しています。中嶌君のような活動家が存在することは、これからの労働運動の発展にとってかけがえのない貴重なことです。ぜひ、みんなで支えていきましょう。

 ところで、日本の名だたる大企業の労働組合は、いまは財政的にとっても豊かです。ユニオンショップ制という仕組みによって新入社員はみんな入社と同時に自動的に組合員になり、チェックオフという仕組みによって会社が組合費を給料から天引きして集めてくれます。さらに、こうした大手の組合は、日常の組合費の他に一定額を「闘争資金」という名目で組合員から徴収しています。これはストライキなどに備えて蓄えている資金なのですが、ストライキをしない今は莫大な資金となって蓄えられているのです。
 健全な社会を形成するためには、大企業の莫大な内部留保をはき出させるのと同じように、大企業組合の莫大な内部資金をはき出させて有効に使うことが求められています。
posted by 中村和雄 at 17:37 | みなさんの意見(2) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2010年09月20日

ジョブセンター・コペンハーゲン 

 デンマーク調査報告第1回はジョブセンターです。日本におけるハローワークですね。
 私たちが訪問したのは、コペンハーゲン市内に3つあるジョブセンターの1つです。コペンハーゲン市内では規模が最も大きく、全国でももっとも規模の大きなジョブセンターです。このジョブセンターは現在コペンハーゲン市が運営しているのですが、この体制となったのは2006年からであり、それまでは自治体系統の施設と国系統の施設にわかれていたのだそうです。一元化され、すべて自治体で運営することとなったのです。
 コペンハーゲン市ではジョブセンターに520名ほどの職員を雇用しています。そのうち200名がここのセンターで働いています。日本のハローワークとは比べようがない程、職員体制が充実しています。


 1階フロアに多数設置されている端末画面からは、求職者情報と求人情報を全国的に網羅するジョブネットの情報が検索できます。このジョブネットという検索システムがすごいのです。全国の津々浦々の求人求職情報がすべて満載されているのです。
 失業者は手続きを開始するにあたって、自己の情報をこのジョブネットに正確に登録することが義務付けられています。

 求職者に対する就労援助活動は個々人の経歴などが十分に把握されたうえで、きめ細かくなされていることが窺えました。もっとも、求職者の意に反した就労強制が失業給付の停止などをてことしてなされているのではないかとの懸念も持ちました。また、現実におこなわれる就労のための教育訓練の多数が民間企業への委託という形でおこなわれているとのことでしたが、実際にジョブセンターを通じておこなわれている教育訓練の実体や成果を具体的にに確認することはできませんでした。充実した教育訓練が民間企業においてどのようになされているのかについて学びたかったのですが、残念ながらそれを確認することはできませんでした。


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posted by 中村和雄 at 19:24 | みなさんの意見(0) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2010年08月27日

均等待遇実現へ 自治労委員長の発言

 26日に徳島で開かれた自治労の定期大会において、徳永委員長は(正規職員と非正規職員が賃金をシェアすべきだ」「正規ー非正規の均等待遇を実現するためには、もう一歩進んだ運動展開が必要」と発言。人事院勧告に準じて地方公務員の正規職員の給与が削減された場合、削減分を非正規職員の処遇改善に確保する労使交渉に入ることを提案しました。

 自治労の調査によれば、全国の非正規職員の数は60万人とのことです。公務現場では、民間現場と同じように、あるいはそれ以上に非正規化が進んでおり、正規職員と非正規職員との処遇格差も大きいのです。

 同一労働同一賃金の原則、同じ仕事をすれば同じ賃金を貰える、この当たり前の原則が日本では確立していないのです。ヨーロッパではずっと当たり前のこととされ、お隣の韓国でも法律に規定されました。

 わが国のワーキングプア問題根絶のためにも、今こそ均等待遇原則をすべての職場に実現していきましょう。広島電鉄では、正規社員と非正規社員とを同等に扱うことを労働組合が要求して実現しました。ぜひ、広島電鉄労働組合の教訓を学びたいと思います。

 私は、明日から9日間ほど、日弁連の貧困問題対策本部の調査でデンマークに行ってきます。社会保障や失業手当が厚く、フレキシュリティーが成功したと言われる国です。帰ったらご報告します。
posted by 中村和雄 at 23:55 | みなさんの意見(2) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2010年05月16日

アジアの労働紛争解決

20100516102750.jpg 第60回労働法学会が名古屋大学で開かれました。60回という記念すべき大会ということで、韓国、中国、台湾の研究者の皆さんをお招きし、各地域の労働紛争解決制度をご報告頂き、日本の現行制度との比較検討や課題について討議されました。

 わが国では、あらたに開始された労働審判制度が飛躍的に拡大し、通常訴訟とあわせて裁判所に提起される労働事件件数は7000件に達するようになりました。労働局のおこなう個別紛争解決制度も1万件の新規受理件数となり、労働事件の受理件数は近年急増しています。

 ところが、わが国における労働紛争の公的解決機関への申請件数は韓国・中国・台湾と比較して、まだまだ極めて少ないことが報告されました。申請受理件数を労働人口で除した数値は、日本が0.21であるのに対して、韓国は0.7、中国は1.24、台湾は2.46です。ドイツやフランスなどのヨーロッパ各国と比べて極めて少ないことはこれまでも指摘されてきましたが、アジアの国に比較しても少ないのです。

 申請が少ない原因は色々考えられますが、職場で法律に基づいた適正な秩序が形成しているとは考えられません。紛争解決システムが充分に機能していない仕組みとなっていることに大きな原因がありそうです。労働者が正当な権利を迅速で適正に安価な費用で実現できる機関の拡大を実現していかなくてはならないと思います。そのためにアジアの各国から学ぶところが多そうです。これからはアジアの制度にも注目する必要が大きいことを感じました。
posted by 中村和雄 at 23:55 | みなさんの意見(0) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2010年04月18日

派遣労働法「改正」法案審議入り

20100416184432.jpg 本来であれば、今頃このブログに「デンマークからのリポート」を記述する予定でした。日弁連デンマーク労働社会保障制度調査団の団長として、17日出発24日帰国でデンマークの政府機関・研究所・労働組合・民間団体を訪ねることになっていました。自然の力の底知れぬ巨大さにただただ圧倒されるばかりです。と言うわけで、調査は延期となりました。

 派遣法「改正」法案が衆議院に提出され、16日から審議が始まりました。わが国でのワーキングプア拡大の大きな要因が非正規労働問題であり、まず解決すべきなのが悲惨な派遣労働者の救済です。ところが政府の改正法案は派遣労働者の救済に繋がらないばかりか、一時的に認められたはずの派遣労働を固定化する内容まで含んでいます。
 日弁連は会長声明を発表し、改正法案反対を明確にしました。労働弁護団や自由法曹団など法律家の団体も相次いで反対を明確にしています。16日夜には、研究者や弁護士、事件当事者らで構成する「非正規労働者権利実現全国会議」http://www12.plala.or.jp/cuckoo/index.html
が東京で集会を開き、改正法案反対の声明を採択しました。私も副代表として参加しました。

 派遣法の抜本改正を実現していくために大変重要な時期を迎えています。私も、今週は国会に詰めようと思います。ワーキングプアをなくしていく出発点として、派遣労働法の抜本改正を実現していきましょう。 
 
posted by 中村和雄 at 23:55 | みなさんの意見(0) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2010年03月28日

ドイツの労働者派遣法

 京都府知事選挙の公示後はじめての日曜日です。しかし、残念ながら、公職選挙法という法律は、市民の選挙についての報道や意見発表を促進するのではなく、規制する法律となっています。そのために、ブログで候補者を応援することができません。あしからず。
 今回は、これからの京都や日本のあり方に重要な非正規雇用について、海外の事情をお伝えします。私は、3月にはいって、3回ほどドイツの労働法研究者をお招きした研究会に参加する機会を得ました。3回の研究会を通じて感じたことは、ドイツはやはり日本と違って原理や手続きがしっかりしているということと、やはり日本と共通の悩みを持っているということでした。

 EUは昨年派遣労働者についても通常労働者と同様に均等に処遇されるべきことをEU議会で法制化しました。ドイツでも同様に均等待遇の法律ができています。ただし、労働組合と使用者団体が取り決めによって、より低い条件を定めることが認められています。
 そこで、職場にほとんど基盤のないキリスト教労働組合という団体が使用者団体と次々と低賃金の取り決め(協約)を結んでいます。GDBという大きな労働組合はその影響を受けて、やはり低賃金の取り決め(協約)を使用者団体と結ばざるを得なくされています。そのために、全土の派遣労働者の9割以上は均等待遇の原則を排除されてしまっているとのことです。
 今、ドイツでは、キリスト教労働組合が結んだ低賃金の取り決めが法の趣旨に反し無効であることが裁判所で争われているとのことです。

 わが国でも、労働組合の名を借りた事業者が労働組合だけができる「労働者供給事業」という派遣業を低賃金で行い大もうけをしています。宗教活動に名を借りて事業を展開し、大儲けをする偽宗教団体と一緒です。
 これから、わが国で非正規労働者の権利を拡大するための法制化が必要ですが、外国における法規制の現状などを十分に把握して抜け道のない規制をしていく必要があります。
 
posted by 中村和雄 at 16:34 | みなさんの意見(0) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2010年03月07日

名古屋大学シンポジウム「雇用平等法の新たな展開」

 6日(土曜日)に名古屋大学で「雇用平等法の新たな展開」と題する国際シンポジウムが開催され、労働法の研究者が全国から集まりました。

 ドイツの労働法学者のモニカ・シュラハターさんが「ドイツ労働法における雇用平等法の展開」と題して、ドイツにおける雇用平等法の展開と裁判について報告されました。
 ドイツの社会経済研究所の前所長であるハルマット・セイファートさんは「ドイツにおける雇用の多様化と労働組合の対応」と題してドイツにおける派遣をはじめとする非正規労働の広がりと労働組合の対応の遅れを報告されました。

 私も担当したウイングス京都事件(ウイングス京都で働く嘱託職員が正職員に比べて差別されていることに対して是正を求めた裁判)について報告をさせてもらい、ドイツでは同種の事件に対してより労働者に有利な手続きが確立しているとのコメントも受けました。

 グローバリズムの波の中で、ドイツでも派遣をはじめ非正規雇用が増大してきており、労働組合も十分に対応できていないようです。もちろん日本の現状よりは遙かに労働者にとって保護されているのですが、想像していた以上に問題も抱えているようです。派遣労働者の派遣先労働者との均等取り扱いは、法律では認められているものの多くの職場で労働協約によって適用を排除してしまっているとのことです。宗教系の労働組合が悪い働きをしているとの指摘でした。
 
 私たちが日々議論していることと共通の課題についてドイツの中でも議論がされており、共通の課題がたくさんあることを感じました。日本の女性差別や非正規問題の解決のために、ドイツから学ぶことがたくさんあります。逆に日本から伝えることもあることが分かりました。今後さらに、研究者間の交流を深めて双方の制度や運用について学びあうことの大切さを感じました。
posted by 中村和雄 at 23:30 | みなさんの意見(5) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2010年02月28日

「見えてきた貧困」シンポジウム

見えてきた貧困シンポジウム 27日午後キャンパスプラザにおいて、京都弁護士会・法テラス京都主催のシンポジウム「見えてきた貧困」を開催しました。150名の方に参加頂き、これからの歩むべき方向性についてパネラーの皆さんに語って頂きました。

 首都圏青年ユニオンの川添さんは、今も続いている若者を中心とする労働現場の貧困の状況をリアルに伝えてくれました。ウイメンズカウンセリング京都の井上さんは、女性労働を正規労働とは別の補助的労働として位置づけてきた歴史的経過を解説し、わが国の家事育児の性別役割分担の解消が非正規問題の解消と重なることを訴えました。木下教授は、労働法制の規制緩和の歴史を説明し、派遣法をはじめ労働法制の仕組みを抜本的に改革していくことの必要性を話されました。後藤教授は、グローバリゼーションのなかで大企業の国際競争力強化を至上命題にしたわが国の戦略は失敗であった、大企業が莫大な利益をためても市民生活は豊かにならないことが明らかになったと図表を用いて解説しました。

 さらに、これからは中小零細企業とそこに働く労働者たちの発展、地域経済の循環発展が重要であること、その際における労働と社会保障の連携、家庭における家事育児の分担の見直しなどが総合的に再構成する必要があることなど、大変興味深い討論となりました。
 私たちがどんな社会をめざすのか、しっかりと考えるべき時期であることを痛感しました。

posted by 中村和雄 at 23:07 | みなさんの意見(2) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2010年02月14日

POSSE 京都で活動開始

若者たちに対する労働相談活動やテキストづくりなどの活動を展開しているNPO法人POSSEを知っていますか。POSSEは、都内の大学生・フリーターによって2006年に東京都内で結成されました。ホームページはhttp://www.npoposse.jp/です。

 同じ世代の若者たちに労働問題に関心を持ってもらおうと、学生たちが自主的にNPOを立ち上げて活発な活動を展開しています。このほど、東京・仙台に続き、京都でも活動を展開していくことになりました。
 2月20日(土)午後3時から京都駅近くのキャンパスプラザで「労働法を学んでみよう −学生・就活生・新入社員のための労働法セミナー ―」を開催します!参加無料です。お時間のある方はぜひご参加ください。

 私も、この場で、働くことのトラブル対処についてできるだけわかりやすく解説させてもらうつもりです。若者たちが自発的に自分たちの目線で始めた労働相談活動に大いに期待し、協力していきたいと思います。
posted by 中村和雄 at 18:13 | みなさんの意見(0) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2009年12月06日

日韓非正規労働フォーラム2009

 12月4日と5日にソウルの中央大学で開催された「日・韓 非正規労働フォーラム2009」に参加してきました。日本と韓国の研究者や労働運動の活動家たちが両国の非正規問題解決に向けて研究を交流し連携を強めていこうと開催されたものです。2009とありますが、今年が第1回の開催です。

 日本からは、50名を超える参加がありました。研究者の他に弁護士も3名参加しましたが、労働組合の活動家の方たちも多数参加されました。そして、何より3つのナショナルセンターすなわち連合、全労連、全労協がそろって代表を送り込んでくれました。そして、受入側の韓国においても2つあるナショナルセンターすなわち民主労総と韓国労総の両方が主催団体に名を連ねています。つまり、日韓両国のすべてのナショナルセンターが、非正規問題解決に向けて、共同して今回の会議に取り組んでいるのです。まさに歴史的な会議と言えます。

 韓国の新聞には会議の内容が大きく報道されました。両国の非正規問題の共通点と異なる点を概括的に分析した後、非正規問題について「政策」・「法」・「労働運動」・「社会保障」・「女性」の各視点に沿って報告と討議がなされました。私も「政策」のセッションで司会を担当させて貰いましたが、日韓両国の研究者の方々の興味深い報告に大いに刺激を受けました。
 また、労働運動のセッションでは、韓国において企業別組合を解体し産別組合へ結集していくという大転換をはかりつつある民主労総の状況についても報告がされました。

 非正規問題の解決とは、正規の働き方を変えることでもあり、労働のあり方さらには社会保障や産業構造のあり方を変えることでもあります。日韓両国の研究者・組合・弁護士などが協力し合い、人間らしい働き方を実現する取り組みを今後大いに進めていくことに期待したいと思います。第2回は日本での開催になります。多くのみなさまのご協力をお願いします。
posted by 中村和雄 at 23:55 | みなさんの意見(0) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2009年10月31日

派遣法抜本改正を求める院内集会

院内集会 昨日、日弁連主催の派遣法抜本改正を求める院内集会が参議院会館で開催されました。京都から、ジヤトコ事件原告団長の宮崎彰さんに訴えてもらいました。私も抜本改革に向けての日弁連の見解を説明しました。

 現政権が合意し、マニュフェストにも掲げた「3党合意案」の成立が危うくなっています。派遣業者や財界、一部の大手労働組合などから凄まじい攻撃がかけられています。非正規労働者の権利確立への第1歩である派遣法の抜本改革は、何としても実現しなければなりません。働く者すべての人間らしい働き方を実現するために、みなさんのご支援をお願いします。
posted by 中村和雄 at 23:55 | みなさんの意見(0) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2009年10月11日

ジヤトコ「請負・派遣」労働者提訴

DSC_6099a.JPG 日産・三菱などの自動車の変速機を製造している大手企業ジヤトコが、長年にわたって京都工場で正社員と同じように働いてきた「請負・派遣」社員を一斉に解雇・雇い止めしました。企業の社会的責任を求めて、11人の若者が7日京都地裁に裁判を提起しました。

 原告のうち長い人は10年以上も京都工場で部品製造に携わってきました。仕事の指示は直接工場の担当者から指示されてきました。派遣は法律で禁止されていたので、形式は「請負」とされていましたが、明らかな偽装請負でした。会社は派遣法が改悪され、工場での派遣が認められると彼らの雇用を「請負」から「派遣」に形式だけ切りかえました。しかし実態はまったく変わっていません。

 会社は、この12月から1月にかけて「派遣期間満了」として彼らの雇用を一斉に打ち切りました。
 京都府は、この会社に雇用確保のためとして、これまでに3億6000万円もの補助金を支出してきました。それなのに、労働者をモノ扱いするこんな企業にきちんとした指導さえできないのです。府民の税金の無駄遣いです。

 この裁判は、現行の派遣制度の問題点を明らかにするものです。そして、この国の雇用のあり方を根本的に問い直すものです。11人の原告の若者と、若手を中心とした弁護団と、そしてアラ還の支援のみなさんと、力を合わせてたたかっていきます。ご支援をお願いします。

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2009年08月29日

失業率5.7パーセント

 昨日、政府は今年7月の完全失業率が5.7パーセントと6月よりも0.3パーセント上昇し、史上最悪となったことを発表しました。

 完全失業率の統計の計算方法は、各国によってまちまちです。日本の場合は各月の最終週の1週間に就労の意思を持っているにも関わらず1時間以上就労できなかった者の割合を指します。欧米各国の数値より低くなっていると指摘されています。

 日本では長い間失業率は1〜2パーセントで推移していました。それが、規制緩和路線のもとで「労働の弾力化」が進み、今日の事態を招いています。わが国の就業者数も1年前に比べて76万人も減りました。

 いまこそ、労働法制の抜本的改革が必要です。明日の総選挙の大きな争点です。働く者を分断し格差を拡大させてきた現政権を転換し、働く者、弱い者の立場に立って政策をしっかりと実現していく政党を選択しましょう。
posted by 中村和雄 at 09:51 | みなさんの意見(0) | TrackBack(0) | 雇用・労働

2009年07月26日

弁護士会の「雇用と生活相談」に122件の相談

 京都弁護士会は、この火曜日(21日)に「雇用と生活無料相談会」を実施しました。昨今の大変な雇用状況の中で、働く人や職を失った方、生活維持に苦しむ方たちに対し、専門家として正しい知識をアドバイスすることによって少しでも解決に役立ててもらいたいとの思いから企画しました。

 電話相談は朝10時から夜10時まで、面談相談は午後1時から午後4時までの受付としたのですが、時間内に電話103件、面談19件の相談がありました。電話回線3本、弁護士スタッフ16名、他に社労士さん2名、労働組合からの協力者5名という強力な体制で対応しましたが、午後10時の終了時刻まで電話がずっと鳴り止まない状態でした。これほど多数の相談件数の話相談は京都弁護士会では前例がありません。

 相談内容の分析はこれからですが、私の印象としては、解雇と雇い止めの相談や賃金不払いなどの相談が多数でした。政府は盛んに景気の回復を宣伝しますが、雇用現場の状況はますます悪化しているのではないかと思われるほどの状況が続いています。

 私は、京都弁護士会にこの4月から新たに発足した「雇用に関する委員会」の委員長を担当しています。わが国の雇用のあり方を改善し、働く人の人権がしっかりと守られるように、これからも関係各機関と協力して様々な活動を展開していきたいと考えています。
posted by 中村和雄 at 23:49 | みなさんの意見(1) | TrackBack(0) | 雇用・労働